
かつては冗談と受け取られかねなかった構想が、現実のものとなりました。米国前大統領ドナルド・トランプ氏の名を冠したスマートフォンとモバイル通信サービス「Trump Mobile」が正式に発表され、大きな注目を集めています。
トランプ印のスマホ「T1 Phone」とは
トランプ・オーガニゼーションが手がける初のスマートフォン「T1 Phone」は、通信サービス「Trump Mobile」とセットで展開される予定です。製品の外観写真と一部スペックのみが公開されており、実機の稼働状況や詳細な性能は今のところ不明です。
公開されたスペックは以下の通りです。
- ディスプレイ:6.78インチ、120Hzリフレッシュレート
- メモリ:12GB RAM
- ストレージ:256GB(microSD対応)
- バッテリー:5,000mAh
- カメラ構成:50MPメイン、2MPマクロ、2MP深度センサー
- 価格:499ドル
スペックだけを見ると、近年のエントリーモデルからミッドレンジ機にかけての平均的な構成です。特に、搭載チップセットが明かされていない点は不安材料といえるでしょう。
予約受付は既に始まっており、100ドルのデポジットで「先行購入枠」を確保できるとのことですが、公式サイト(Trump.com)は記事執筆時点でアクセス困難な状態となっており、発表への関心の高さと運営体制の脆弱さが露呈しています。
通信サービス「Trump Mobile」の正体
「Trump Mobile」と銘打たれた通信サービスも新規立ち上げではなく、実際には**MVNO(仮想移動体通信事業者)「Liberty Mobile」**のブランド名変更によるものと見られています。Liberty MobileはT-Mobileの回線網を利用しており、トランプ氏の政治的スタンスやイメージと親和性があることから、提携先に選ばれた可能性があります。
提供予定の料金プランは1つのみで、月額47.45ドルとされており、競合のMVNOサービス(Mint MobileやBoost Mobileなど)に比べると割高な印象を受けます。
他にも“トランプ商品”が続々登場中
ここ数年、トランプ氏はNFTや限定スニーカー、時計、さらには独自の暗号通貨「$TRUMP」など、多方面でブランド展開を進めており、今回のスマートフォンと通信サービスもその一環と見られます。政治的支持者を対象にしたコレクターズアイテムとしての側面も強く、価格設定や仕様の面で実用性よりも“支持の証”としての意味合いが重視されているのかもしれません。
実現するかは不透明、それでも話題性は十分
「T1 Phone」が本当に市場に出回るかは、まだ確実ではありません。公式発表の文言やサイトの挙動、そして仕様の曖昧さなどから、実際の製造・出荷体制には疑問が残ります。とはいえ、アメリカ国内で製造されると主張されている点や、トランプブランドの影響力を活かしたプロモーションは大きな話題を呼んでいます。
新たなトランプブランド製品が「次のトランプステーキ」になるのか、「次のトランプタワー」級の成功を収めるのか──注目が集まります。