
米国で実施された新たな調査により、10代の若者が運転中の平均21%もの時間をスマートフォンの操作に費やしている実態が明らかになりました。この数字は、運転中の注意散漫が重大事故を招く可能性が高いことを強く示唆しています。
危険性を理解していても「みんなやっているから」
この調査は全米4地域の高校生を中心に、1,126名の10代ドライバーを対象に行われたもので、さらに一部の生徒には個別インタビューも実施されました。その結果、大半の参加者は「ながら運転が危険である」ことを認識しており、また親や友人もこの行動に否定的であると感じていることが分かっています。
それにもかかわらず、スマホを見ながら運転する若者が後を絶たない理由として、「友達がやっているから自分もやるようになった」という“行動の常態化”が背景にあるようです。
単なるナビ利用だけではない実態
スマートフォンの使用目的については、ナビアプリの使用が全体の30%にとどまる一方で、メッセージの送受信が40%、動画や音楽などのエンタメアプリが65%を占めていました。さらに5%以上の運転時間が「2秒以上」スマホ画面を注視していたとされ、この時間は重大な事故に直結する危険ラインとされています。
「運転中の通知オフ」機能も十分に浸透せず
Appleは過去に「運転中は通知を制限する(Do Not Disturb While Driving)」機能をiOS 11から導入しており、ある保険会社の調査ではiPhoneユーザーの約70%がこの機能を利用していることが分かっています。
しかし、今回の調査では若者の間でその意識や利用率がまだ十分とは言えない状況が浮き彫りになりました。
専門家は社会的な意識改革を提言
調査を主導したボストン・ブリガム&ウィメンズ病院のレベッカ・ロビンズ博士は、個人の努力に加えて社会全体としての価値観の見直しが必要だと強調しています。
「ながら運転は公共の安全を脅かす深刻な問題であり、特に若年層ではそのリスクが顕著です。運転中のスマホ操作は本人だけでなく、周囲の命も危険にさらします」とロビンズ博士は述べています。
同博士は、運転中のスマホ使用を防ぐために「通知オフモードの常時有効化」や「スマホを物理的に手の届かない場所に置く」などの具体的な対策も推奨しています。
危険性を伝えるために
運転中のスマホ操作が原因で命を落としたり、重傷を負った事故は過去にも多数報告されています。被害者はもちろん、加害者となってしまった若者も長期の服役を余儀なくされるなど、その代償はあまりに大きいものです。
もし身近に10代の運転者がいるなら、今回の調査結果や啓発動画を見せ、リスクの大きさを改めて理解してもらう機会をつくってはいかがでしょうか。中でも最後の1本は特に衝撃的な内容となっており、意識を変える一助になるかもしれません。