
MediaTekの新型フラッグシップチップ「Dimensity 9500」が、Qualcommの最上位モデル「Snapdragon 8 Elite Gen 5」に比べてかなり安い価格で提供される可能性があることが報じられています。複数の情報によると、OEM向け価格は180〜200ドル程度で、同クラスのSnapdragonが280ドル前後とされる中で、圧倒的なコストパフォーマンスを実現しているようです。
3nmプロセス採用でハイエンド性能を低価格に
Dimensity 9500は、TSMCの最新3nm N3Pプロセスを採用したチップで、製造技術自体はSnapdragon 8 Elite Gen 5と同等です。設計は異なるものの、同じ製造ノードでありながらここまで価格差が出るのは注目に値します。MediaTekがTSMCと強固な提携関係を築いていることや、契約条件の柔軟さがコスト低減につながっている可能性もあります。
MediaTekはこれまで「安価だが性能は一歩劣る」というイメージを持たれていました。しかし近年はCPU・GPUともに急速に性能を伸ばしており、最新のDimensityシリーズはSnapdragonに匹敵する水準に達しつつあります。今回の価格設定が事実であれば、性能とコストの両面でスマートフォンメーカーにとって非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
高騰するSnapdragon、コスト競争で差が拡大か
一方、Qualcommはここ数年でチップ価格を引き上げています。これは高度な製造工程の採用や膨大な研究開発コストの反映によるもので、ハイエンドスマートフォンの価格上昇にもつながっています。
その中で、Dimensity 9500がほぼ同等の製造技術を使いながら2/3の価格で供給できるのであれば、コスト重視のメーカーがMediaTekへシフトする動きが加速する可能性もあります。特に中国や新興市場のブランドにとっては、性能を犠牲にせずコストを抑えられる大きなメリットとなるでしょう。
MediaTekはこれまでミドルレンジ中心の印象が強かったものの、今回のDimensity 9500によって「ハイエンド市場での本格対抗」を狙っていることは間違いありません。国内メーカーが今後このチップを採用する可能性もあり、来年以降のフラッグシップ市場に新たな競争の波が訪れそうです。