次世代Galaxyのバッテリー容量は10%アップ?サムスンSDI、小型バッテリー生産ラインに「スタッキング技術」を導入へ

サムスンSDIのチェ・ジュソン社長が新年の現場視察の一環として、先週韓国・天安(チョナン)の事業所を訪問したことが15日に確認されました。今回の視察は、新任のチェ社長が初めて小型バッテリーの生産現場を訪れたもので、業界内で大きな関心を集めています。現場案内は、小型バッテリー製造技術センター長のペク・スンギ副社長が担当しました。

スマートフォン用バッテリーにも「スタッキング」技術を適用

チェ社長が特に注目したのは、小型バッテリーの「Mライン」と呼ばれる生産ラインです。このラインでは、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどに使用される小型バッテリー向けの新しい製造技術を適用した試作ラインが構築されています。その技術が、バッテリー内部の素材を階段状に積み重ねる「スタッキング(Stacking)」方式です。

このスタッキング技術は、すでに電気自動車用バッテリーの第5世代(Gen 5)プラットフォームに採用されていますが、小型バッテリーに適用するのは今回が初めてです。これまで主に使われていた「ワインディング(Winding)」方式では、バッテリー素材を巻いて「ジェリーロール(Jelly Roll)」と呼ばれる形状を作っていました。一方、スタッキング方式では、正極、負極、セパレーターを層状に積み重ねることで、エネルギー密度を約10%以上向上させることが可能です。たとえば、現在のGalaxy Sシリーズのバッテリー容量が5000mAhだとすると、スタッキング技術を使用することで5500mAh以上に増やせる可能性があります。

新技術導入に向けた設備と投資計画

スタッキング技術を適用するためには、新たな設備の導入が必要です。正極や負極のタブを作る「ノッチング(Notching)」装置や、これらを正確に積み重ねる「スタッキング装置」がその中核を担います。現在、天安事業所で試作ラインの完成が2025年上半期中に見込まれており、これが順調に進めば、年内に量産ラインへの投資が決定される可能性があります。

投資先候補地としては、ベトナムマレーシアの2カ所が挙げられています。特にマレーシアは、既存の円筒型バッテリー工場があるため、そこで小型バッテリーの生産が行われる可能性が高いと見られています。

サムスンSDIの小型バッテリー戦略

これまでサムスンSDIの小型バッテリーは主に中国・天津の工場で生産されてきました。しかし、新しい製造技術の導入を機に、サムスン電子をはじめとする主要なスマートフォンメーカーへの供給拡大が加速すると見られています。一方で、近年サムスン電子は、LGエナジーソリューションや中国のATL、BYDなどからもバッテリーを調達する体制を整えており、競争が激化しています。

新しいスタッキング技術を武器に、サムスンSDIがどのように市場での地位を強化していくのか、今後の動向が注目されます。

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