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Googleがこれまで掲げてきたポリシーの一部を大きく見直しました。最近では、多様性・公平性・包括性(DEI)プログラムの廃止や、AIを用いた武器開発・監視技術に関する方針の変更が発表され、これが社内外で注目を集めています。こうした動きに対し、Googleは社内ミーティングを開き、その背景や意図について説明しました。
DEIプログラム廃止の理由とは?
今回の社内ミーティングでは、Googleの元多様性責任者であるメロニー・パーカー氏がDEIプログラムの変更に関して詳細を語りました。
パーカー氏によると、Googleは社員向けの多様性研修を廃止し、DEI関連プログラムの見直しを進めているとのことです。これに伴い、彼女自身も新たにGoogler Engagement担当副社長という役職に就任しました。
また、パーカー氏は、新しい法規制への適応が今回の変更の理由だと述べています。以前、ドナルド・トランプ元大統領がすべての企業にDEIプログラムを廃止するよう求める大統領令を発令しました。同氏の主張は、こうしたプログラムが特定の社会的背景を持つ人々を優先することで、他のグループを排除する可能性があるというものです。
「私たちはこれまでも、常にその仕事に最も適した人を採用してきました。それは変わりません」とパーカー氏は強調しました。
CEOのサンダー・ピチャイ氏も、「私たちの価値観は不変です。しかし、法的な指針が進化する中で、それに従う必要があります」とコメントしています。
なお、Googleだけでなく、MetaやAmazonといった他の大手企業も同様の方針転換を行っています。これらの企業は過去にトランプ氏と対立した経緯もあり、現状では政府との関係改善を図っているようです。
AIポリシー変更の背景にある「国家安全保障」と「社会的役割」
ミーティングでは、AI技術を武器開発や監視目的に使用する可能性についても議論が行われました。これに先立ち、Googleの幹部は数日前に公式ブログでこの件について説明しています。その内容は、AI技術の使用が国家安全保障を目的とするものであるというものです。
最高法務責任者のケント・ウォーカー氏は、今回の社内説明でさらに詳細を補足しました。ウォーカー氏は、2018年のAIポリシーが現在の状況にそぐわないことを指摘しました。このポリシーは、当時の従業員による抗議活動を受けて制定されたもので、Googleは米国国防総省の**「Project Maven」**への技術提供から撤退しています。
「2018年以降、状況は大きく変わりました。今では、私たちが専門性を発揮できる分野、例えばサイバーセキュリティや生物学関連の技術で、重要な議論に参加することが増えています。Googleがこれらの議論の場に加わることは社会全体の利益につながるでしょう」とウォーカー氏は述べました。
さらに、AIポリシーの変更については、「以前のポリシーの一部には現在の複雑な状況にそぐわないものもありますが、今も変わらないのは、私たちがAI技術の利点がリスクを大きく上回ると確信している点です」と付け加えています。
まとめ
Googleが今回示した方針転換は、多くの議論を呼ぶものであり、社会的影響も大きいでしょう。しかし、変化する法規制や安全保障の状況に適応するためには、こうした決断が必要だという姿勢を示しています。
AI技術の進化とその活用は今後もさらに加速していくでしょう。その中で、Googleがどのような役割を果たしていくのか注目が集まります。
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