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AI市場が急速に拡大する中、OpenAIが自社AIチップの製造パートナーとしてTSMC(台湾積体電路製造)を選択したとの報道が注目を集めています。これまで有力候補とされたSamsung Foundryではなく、TSMCの3nmプロセスを採用するという決断は、今後のAI業界に大きな影響を与えそうです。
高まるAI需要と自社開発の流れ
AIを活用したツールやサービスの開発が急成長する一方で、開発コストの増大が課題となっています。OpenAIも例外ではなく、運営コストを抑えつつ競争力を高めるために、専用ハードウェアの自社開発に乗り出しました。
現在、OpenAIはNvidiaのAIハードウェアを主に使用していますが、Nvidiaの市場独占的な立場が価格上昇を招き、コスト面での負担が増大していると言われています。そのため、自社製AIチップの開発を進め、長期的なコスト削減を目指しているようです。
TSMCを選んだ理由とは?
今月初旬、Samsung Electronics会長の李在鎔(ジェイ・Y・リー)氏とOpenAI CEOのサム・アルトマン氏が会談した際、サムスンの3nmプロセスでのAIチップ製造が議題に上がったとされています。これにより、Samsung Foundryが製造を担当するのではとの憶測が広まりました。
しかし、Reutersの最新報道によると、OpenAIは最終的にTSMCを選択したとのこと。TSMCは高い製造技術と安定した生産能力で知られており、QualcommやNvidiaといった他の大手企業も過去にSamsungからTSMCへ製造パートナーを変更しています。
2026年に量産開始か
OpenAIは2026年にAIチップの量産を開始する計画を立てており、TSMCへのチップ設計データ提供は数カ月以内に行われるとみられます。設計はすでに最終段階に入っており、現在は生産テストに向けた準備が進められている模様です。
同社はAIチップの設計に約5億ドル(約650億円)を投資する予定ですが、これにより運営コストの大幅な削減が期待されています。この動きは、かつてAppleがIntelを離れ、自社開発のARMベースチップへ移行した事例と似ています。
今後の動向に注目
OpenAIの専用AIチップが2026年に登場すれば、AI業界の勢力図が大きく変わる可能性があります。TSMCの3nmプロセスがどのようなパフォーマンスを見せるのか、引き続き注目が集まります。
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