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サムスン電子が非メモリ事業の赤字を縮小するために設計外注の割合を減らす方針を打ち出しました。特にシステムLSI事業部では、2025年上半期に予定されていたExynos 2500の搭載が遅れ、業績の改善が急務となっています。この動きにより、設計外注を請け負うデザインハウス業界に緊張感が広がっている状況です。
設計外注の10%を削減 – 影響を受ける設計パートナー
業界関係者によると、サムスン電子システムLSI事業部は設計外注業務を約10%削減しています。この影響を特に受けるのが仮想設計パートナー(VDP)と呼ばれる企業で、これらの企業はサムスンの設計案件に大きく依存しているため、売上減少が避けられない見通しです。
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サムスンの設計パートナーはDSP(デザインソリューションパートナー)とVDPに分類されます。DSPはファウンドリサービス全般の設計を担当し、VDPは小規模な設計業務を請け負います。DSPの代表例であるエイディテクノロジーは、2024年にメモリSSDコントローラーの設計業務をサムスンから受注しました。また、サムスンはCMOSイメージセンサー(CIS)やディスプレイドライバIC(DDI)など一部の半導体設計を外部企業に依頼してきましたが、今回の政策変更でそれらの外注が縮小されることになります。
自社内での設計処理を拡大 – 外注費と出張費を削減
設計業務を外部ではなく社内で処理することで、外注費用の削減を図るとともに、出張費の縮小などコスト削減策を進めています。また、AIアクセラレータ「マハ1」の開発プロジェクトが中止されたことで、そのリソースがシステムLSI事業部の設計業務に再配分され、外注依存がさらに減少する見込みです。
一方、サムスンは設計サービスを強化する目的でDSPを8社から13社、VDPを26社に増やしましたが、肝心の案件数が減少しているため、デザインハウス業界は難しい立場に立たされています。特にサムスン依存度の高い企業には大きな打撃となる一方、ガオンチップスやセミファイブといった他社案件も多く手がける企業への影響は比較的小さいと予想されています。
今後の展望
業界では、サムスンの設計外注削減方針が当面続くと見られています。赤字改善のために内部リソースを最大限に活用する姿勢が明確であり、システムLSI事業部やファウンドリ事業部が引き続きコスト削減を進める可能性が高いです。これにより、デザインハウス業界は新たなビジネスモデルを模索する必要に迫られています。
サムスンのこうした動きが非メモリ事業の赤字改善にどれだけ寄与するのか、今後の展開が注目されます。
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