かつて、インターネットはもっと自由でプライベートな空間でした。ウェブを巡るたびに監視され、広告のためにデータを収集されることもなく、気軽に情報を探せた時代がありました。しかし、そのような時代はすでに終わり、状況は悪化する一方です。最近のProtonの調査によると、Apple、Meta、Googleといった大手テック企業が、毎年ますます多くのユーザーデータを当局に提供していることが明らかになりました。

増え続けるデータ提供—10年間で驚異的な増加
2014年、Meta(旧Facebook)、Google、Appleが米国当局に提供したユーザーアカウント数は5万件未満でした。しかし、2022年には30万件以上が提供されています。

この10年間で、各社のデータ提供件数は以下のように急増しました。
- Meta:675%増加
- Apple:621%増加
- Google:530%増加
Googleは比較的増加率が低いものの、それでも5倍以上に膨れ上がっています。これが何を意味するのかは明白です。私たちが日常的に使っているプラットフォームは、年々、より多くのデータを当局に提供しているのです。
「プライバシー重視」の企業も例外ではありません
振り返ってみると、かつて私たちは何の疑問も持たずにFacebookに個人情報を提供していました。外出先でのチェックイン、無造作にアップロードした写真、友人とのタグ付け。これらが今、どれほどの価値を持つデータなのかを考えたことはあったでしょうか。
さらに興味深いのは、「プライバシーを最優先する」と主張するAppleでさえ、完全に無関係ではないという点です。同社はユーザーのプライバシー保護に力を入れているとされていますが、実際には年々、政府の要求に応じるケースが増えています。
また、どの国が最も多くのユーザーデータを要求しているのかという点についても、Protonの調査で明らかになりました。結果は予想通り、米国が圧倒的にトップ。続いてドイツが2位となっていますが、その件数は米国と比べると大きく下回っています。
今からできるプライバシー対策
一度流出したデータは取り戻せません。それがインターネット時代の現実です。しかし、これ以上データを提供しないための対策はあります。
- VPNを利用する
VPN(仮想プライベートネットワーク)を使うことで、自分のIPアドレスや位置情報を隠し、ウェブサイトが個人の閲覧履歴を追跡しにくくなります。 - プライバシー重視のブラウザを使う
広告やトラッカーをブロックする機能を持つブラウザを利用することで、個人データの収集を最小限に抑えられます。 - iCloud Private Relayを活用する(iOSユーザー向け)
AppleのiCloud+を契約している場合、「iCloud Private Relay」を有効にするとIPアドレスや位置情報を隠すことが可能です。また、「Hide My Email」機能を使えば、サイトに本当のメールアドレスを知られずに済みます。
データを守るのは私たち自身です
私たちのデータは、想像以上に企業や政府と共有されています。しかし、それを防ぐための手段も存在します。プライバシーを守るためには、自分で対策を講じることが重要です。
データを完全にコントロールすることは難しいかもしれませんが、無防備な状態で手渡すのをやめることはできます。まずは、自分の使っているサービスがどのようにデータを扱っているのかを知り、適切な対策を取ることが大切です。