MediaTek Dimensity 9500正式登場 ― CPU・GPU・AIが大幅進化、9400比で最大57%性能向上

MediaTekが最新フラッグシップ向けチップセット「Dimensity 9500」を正式発表しました。TSMCの第3世代3nmプロセス「N3P」を採用し、前世代のDimensity 9400と比べて性能・電力効率の両面で大きな進化を遂げています。CPU、GPU、NPU(AIプロセッサ)、カメラ、通信機能など、あらゆる要素が刷新されており、ハイエンドスマートフォン市場での存在感を一段と高める内容です。

GeekbenchとAnTuTuで圧倒的なスコア差

実機としては、Vivo X300 Pro(Dimensity 9500搭載)とVivo X200 Pro(Dimensity 9400搭載)のベンチマーク結果が比較されています。

Geekbench 6では、9500がシングルコアで3,177、マルチコアで9,701を記録。9400のスコア(2,681/7,752)と比べ、それぞれ約18%、25%の向上です。
さらにAnTuTuベンチマークでは、9500が総合スコア4,011,932を達成。9400(2,541,756)を大きく上回り、57%の伸びを見せました。特にCPU性能は約76%アップ、GPUも32%向上しており、AI処理や高負荷ゲーム環境での快適性が大きく向上しています。

「All Big Core」構成と新GPUでモバイルゲーミング強化

Dimensity 9500は、ARMの最新C1シリーズを採用した第三世代「All Big Core」構成を採用。ピーク時の電力消費を最大55%削減しつつ、シングル性能は最大32%向上しました。GPUは12コアのMali-G1 Ultraを採用し、120fpsのレイトレーシング対応モバイルゲーミングを初めて実現。MediaTek独自の「HyperEngine Gaming Technology」と「MRFC 3.0」により、従来の60fpsゲームを120fpsへ引き上げることも可能です。

AI性能とカメラ処理も飛躍的に進化

AI処理を担うNPUは「MediaTek NPU 990」へ進化し、生成AIエンジン2.0との組み合わせで計算能力が倍増。オンデバイスでの画像生成や長文処理が高速化し、消費電力は56%削減されています。カメラ面では「Imagiq 1190 ISP」を新採用し、最大320MP対応や4K/120fps撮影に対応。AIノイズ除去技術により、200MP撮影でも高精細なディテール再現が可能となりました。

電力効率と通信性能の最適化

通信機能では、5Gの消費電力を10%、Wi-Fiを20%削減。AI補正によって信号精度も20%向上しました。ピーク通信速度は5Gで7.4Gbps、Wi-Fi 7で7.3Gbpsを実現しています。

Dimensity 9500は、単なるマイナーチェンジではなく、CPUからGPU、AI、通信に至るまで全方位で刷新されたフルモデルチェンジといえるチップです。2025年後半に登場する各社フラッグシップ機の多くが、この新チップを採用するとみられ、スマートフォン性能競争の新たな基準となる可能性があります。

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