
新ルールが本格稼働
中国で、AIが生成したコンテンツに明示的なラベルやデジタル透かしを付与することを義務付ける新たな法律が今週施行されました。対象となるのはテキスト、画像、音声、動画と幅広く、すべてに「AI生成」であることを示す表示やメタデータが必要となります。
この規制は、国家インターネット情報弁公室(CAC)が公安や放送監督機関、業界団体と連携して策定し、今年3月に発表されていました。今回の施行に合わせ、WeChat(微信)、Douyin(抖音)、Weibo(微博)、Xiaohongshu(小紅書)といった大手SNSが対応を開始しました。
各プラットフォームの対応状況
WeChatは約14億人の月間利用者を抱える国内最大級のサービスで、投稿者にAI生成物の申告を義務化。ラベルの改ざんは禁止されています。Douyinは7億6,650万人超の利用者に向け、すべてのAI投稿に見える形でのラベル付けを義務化し、メタデータを通じて出所を確認します。
Weiboは「未ラベルAIコンテンツ」を通報できる新機能を導入。Xiaohongshuは、ユーザーがラベルを付けなかった場合でもシステム側が自動的に表示を加える仕組みを導入しました。さらに各サービスは「未ラベルの投稿には注意」と利用者に呼びかけ、虚偽表示が発覚した場合は削除権限を行使できるようになっています。
プラットフォームごとのAIコンテンツ対策
プラットフォーム | 月間アクティブユーザー数 | 主な対策内容 |
---|---|---|
WeChat(微信) | 約14億人 | 投稿者にAI生成の申告義務、ラベル改ざん禁止 |
Douyin(抖音) | 約7億6,650万人 | 全AI投稿にラベル必須、メタデータで出所確認 |
Weibo(微博) | 非公開 | 「未ラベルAIコンテンツ」通報機能を新設 |
Xiaohongshu(小紅書) | 非公開 | ラベル未付与投稿に対し運営が自動で表示追加 |
背景と今後の課題
この新法は、中国が進める「清朗(Qinglang)2025」キャンペーンの一環で、虚偽情報や世論操作、著作権侵害、ネット詐欺への対策を目的としています。特に短編動画アプリでの誤解を招く広告や、未成年者保護の強化が重点とされています。
ただし、ラベル回避の完全防止は難しく、今後もイタチごっこの様相を呈する可能性があります。それでも、世界的にAI生成物の透明性を求める動きが広がる中で、中国が先行して法制度を整備した意義は大きいといえるでしょう。