
5月の生産台数、330万台に拡大
サムスン電子が、次期フラッグシップモデル「Galaxy S25」シリーズの生産を急拡大していることが分かりました。韓国メディアによると、同社は5月中にGalaxy S25シリーズを合計330万台製造する予定です。特に米国市場向けに、主力モデル「Galaxy S25 Ultra」の出荷を加速させる狙いがあるとみられます。
背景にあるのは、米国政府による韓国製品への関税引き上げの動きです。トランプ政権時代に導入された輸入関税措置が再び強化される可能性があり、サムスンはそのリスクを見越して在庫を確保しようとしていると伝えられています。
トランプ関税を見据え、急ピッチで増産
現在、米国の対韓国関税措置は90日間の猶予期間に入っていますが、ハイテク企業各社は将来的な影響を懸念しています。アップルは先月、iPhoneを400万台、iPadを150万台追加生産しており、サムスンも同様にGalaxy S25シリーズの生産台数を大幅に引き上げる判断を下しました。
サムスンは、もともと4月時点でGalaxyシリーズとタブレット合わせて1620万台の生産計画をサプライヤーに通知していましたが、このうちタブレットはわずか40万台にとどまっています。今回、Galaxy S25シリーズ単独で330万台を製造する方針を示したことで、急激な増産体制への切り替えが明らかになりました。
Galaxy S25 Ultraが中心モデルに
生産拡大の中心となるのは、最上位モデルの「Galaxy S25 Ultra」です。5月中に生産されるGalaxy S25シリーズのうち、Ultraモデルは150万台を占めます。標準モデルの「Galaxy S25」は130万台、上位モデル「Galaxy S25 Plus」は50万台の計画となっています。
Ultraモデルへの重点投資は、米国市場での高価格帯スマートフォン需要を見据えた戦略と考えられます。関税引き上げ前に高単価商品の供給を増やし、収益への影響を最小限に抑える意図がうかがえます。
今後の見通しは不透明
米国政府は、韓国からの輸入品に対する関税率を25%に引き上げる方針を発表しており、現在は90日間の猶予期間中です。しかし、関税適用後の具体的な状況は依然として不透明なままです。
このためサムスンは、5月中にできる限り多くのGalaxy S25を米国に送り込む方針ですが、6月以降は生産ペースを見直す可能性があると報じられています。市場環境を慎重に見極めながら、柔軟な対応を取る構えです。