
ソニーの「Xperia 1 VII」が世界初の事例となった可変焦点の望遠カメラ。その仕組みが、今後は他社のフラッグシップモデルにも広がる見通しです。
Xperia 1 VIIが切り開いた道
Xperia 1 VIIには、焦点距離85mmから170mm(35mm換算)をカバーする 12MPの望遠カメラ が搭載されています。これにより、3.5倍から7.1倍までの光学ズームをシームレスに行うことが可能です。デジタルズームのように画質を損なうことがなく、コンパクトカメラ並みの撮影体験をスマートフォンで実現しています。
この仕組みはすでにソニーのコンデジ「RX100 VII」にも採用されており、スマートフォンのカメラに本格的なズームレンズを搭載する試みとして注目を集めています。
中国メーカーが次の採用候補に
韓国メディア「The Elec」によれば、サムスン電機が中国のスマートフォンメーカー向けに 連続光学ズームカメラモジュール を開発中とのことです。仕様や発売時期の詳細はまだ明らかにされていませんが、まずは中国発のフラッグシップモデルに搭載される可能性が高いとされています。
なお、この新技術はGalaxy SシリーズやiPhone、Pixelシリーズ向けではなく、あくまで中国メーカーへの供給を主眼にしていると報じられています。
センサーサイズの課題
連続ズームは撮影体験を大きく進化させる一方で、課題も存在します。レンズ機構に多くのスペースを必要とするため、比較的小型のセンサーと組み合わせざるを得ない点です。
例えば、Xperia 1 VIIの望遠カメラは1/3.5インチと非常に小さいセンサーを採用しています。対照的に、Xiaomi 15 Ultraの望遠ペリスコープカメラは200MP・1/1.4インチセンサーを搭載しており、光学4.3倍ズームを実現。センサーサイズではソニー機の約5倍にもなります。
次世代スマホカメラの方向性
連続ズームレンズは、スマートフォンのカメラにとって「次の大きな進化」と目されています。大型センサーによる高画質か、連続ズームによる柔軟性か――各メーカーがどの方向に進むのか、今後の動向が注目されます。