サムスン、日立の特許侵害でマクセルに約177億円の賠償命令──米テキサス州で評決

サムスン電子が、日本の電子機器メーカーであるマクセルに対し、1億1,770万ドル(約177億円)の損害賠償を支払うよう米連邦裁判所の陪審に命じられました。これは、スマートホーム関連技術やスマートフォン機能に関する複数の特許を侵害したと認定されたことによるものです。


スマートフォンの基本機能にも特許侵害の認定

評決が下されたのは、米テキサス東部地区連邦地方裁判所。陪審は、サムスンのGalaxyスマートフォンやタブレット端末などが、マクセルの保有する3件の米国特許──「画面ロック解除機能」「データ管理」「画像・動画の再生処理」──を侵害していると判断しました。

なお、今回の評決は最終判決ではなく、サムスン側が控訴する可能性も残されています。


元は日立の特許、ライセンス満了後も使用か

この訴訟の発端は2023年9月。マクセルはサムスンが計7件の特許を無断使用しているとして、テキサスで提訴しました。対象となったのは、スマートフォンやノートPC、スマート家電、さらには「SmartThings Station」に至るまで、幅広い製品群に及びます。

マクセルによると、両社の関係は2011年にさかのぼります。当時、サムスンはマクセルの前身である日立コンシューマエレクトロニクスとライセンス契約を締結し、10年間にわたり10件の特許を利用していました。しかし、契約は2021年に満了。その後、サムスンはライセンスの更新を行わず、引き続き該当技術を使用し続けたとされています。

マクセルは再三にわたりサムスンにライセンス再契約を求めたものの拒否され、その結果として法的手段に踏み切ったとしています。


米国だけでなく複数の国際法廷でも争いに発展

今回のテキサスでの訴訟以外にも、マクセルは米国国際貿易委員会(ITC)、ドイツ、日本など複数の国と地域でサムスンを提訴しています。さらに、2025年4月には、同様の特許侵害を巡る新たな訴訟を再びテキサスで提起するなど、攻勢を強めています。


今回の陪審評決は、マクセルにとって一つの勝利となる一方で、サムスンにとっては製品開発と知財管理の在り方が改めて問われる結果となりました。最終的な判決がどう下されるかは不透明ですが、今後の控訴や他国での訴訟の行方にも注目が集まります。

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